CNC マシンと CircuitMill でプリント基板を自作する方法
基板の切削、絶縁加工、穴あけ、外形切り出しを順に解説
プリント基板の自作に、扱いにくい薬品や高価な設備、基板メーカーからの納品待ちが必ず必要なわけではありません。小型 CNC マシンと CircuitMill があれば、自分の作業場で PCB 設計を実物の基板にできます。
試作品の製作、電子回路の実験、独自の回路開発など、CNC による基板切削なら製造工程を自分で管理できます。朝に回路を設計し、その日のうちに動作する基板を手にすることも可能です。
このガイドでは、設計の準備から CNC ツールパスの生成、銅配線の切削、穴あけ、完成した基板の切り出しまでを説明します。
1. CNC による基板切削とは
CNC による基板切削は、材料を取り除いて形を作る除去加工です。薬品で不要な銅をエッチングする代わりに、小さな切削工具で銅張積層板の銅箔を物理的に除去します。
マシンは正確に計算された経路をたどり、配線、パッド、銅ベタの間に電気的な絶縁を作ります。
基本となる加工は次の 3 つです。
- **絶縁切削:**小型の彫刻ビットで配線やパッドの周囲の銅を取り除き、必要な電気的接続を残します。
- **穴あけ:**挿入実装部品、取り付け金具、ビア接続用の穴を開けます。
- **基板の切り出し:**最後に外形に沿って切削し、完成した PCB を周囲の材料から分離します。
CNC 切削は、迅速な試作、独自の電子機器、教材、単品製作に適しています。従来の化学エッチングと違い、エッチング液は不要で、手頃な卓上 CNC ルーターでも加工できます。
2. 用意するもの
始める前に、次の機材と材料をそろえます。
- 卓上 CNC マシン。十分な剛性を持つ主軸と、正確な Z 軸制御が望まれます。
- FR-1 や FR-4 などの銅張積層板。
- 基板用彫刻ビット、小径ドリル、外形切削用エンドミル。
- KiCad などの基板設計ソフトを使えるコンピューター。
- 加工用ツールパスを準備する CircuitMill。
- 基板固定具、両面テープなど、確実に固定できる手段。
- 適切な集じん装置と保護具。
初めてなら FR-1 が実用的です。通常は切削しやすく、ガラス繊維を含む FR-4 に比べて粉じんの研磨性も低くなります。常に適切な集じんを行い、特に FR-4 の切削時は徹底してください。
3. 基板を設計する
KiCad などの基板設計ソフトで回路基板を作成します。
最初の切削基板には、比較的太い配線、十分な間隔、挿入実装部品を使った単純な片面設計をおすすめします。加工しやすくなり、配線の断線や絶縁不良のリスクを減らせます。
出力前に、配線が正しく接続されていること、外形が完成していること、設計ルールチェックを通過していることを確認します。
一般的な切削基板にはスルーホールめっきがありません。両面設計では、はんだ付けしたワイヤーや銅リベットなどで両面を手作業で接続する必要があります。
4. CircuitMill で基板を準備する
CircuitMill は、CNC で基板を製作するための 3 つの基本加工を中心に構成されています。
- 穴あけ — 部品用および取り付け用の穴。
- 絶縁切削 — 銅配線の分離。
- 基板外形 — 完成した基板の切り出し。
基板エディターから、銅箔層の Gerber、Excellon ドリル、基板外形などの製造データを出力します。CircuitMill が対応する入力形式を使い、加工を準備してください。
絶縁切削
適切な工具を選び、配線やパッドの周囲の銅を除去する経路を生成します。絶縁溝を広くすると電気的な間隔が増え、狭くすると高密度な配線が可能になります。
穴あけ
部品用と取り付け用の穴あけを準備します。穴径によっては、複数のドリルと工具交換が必要です。
基板外形
PCB の外周に沿った切削経路を生成します。切り込み深さを設定し、加工が終わるまで基板を保持するタブを残すことも検討します。
マシンで実行する前に、各加工をプレビューで十分に確認してください。配線、穴、外形の位置が合っており、必要な銅が除去されていないことを確かめます。
5. CNC マシンを準備する
基板切削は切り込みが浅いため、正確な設置が重要です。
銅張積層板をテーブルに固定します。平らで、加工中にずれたり振動したりしないことを確認してください。表面高さのわずかな違いでも、V ビットで加工する絶縁溝の幅は大きく変わります。
彫刻ビットを取り付け、ワーク原点を設定し、銅表面を基準に Z 軸のゼロを正確に合わせます。表面のプロービングと高さ補正に対応しているマシンなら、完全には平らでない基板で結果を改善できます。
主軸を回す前に、工具を基板から安全な高さに保って空運転し、経路とワーク座標を確認します。
6. 銅配線を切削する
絶縁切削では、各配線とパッドの周囲から細い帯状の銅を取り除きます。周囲の銅から分離されると、配線は電気的に独立した導体になります。
鋭利な彫刻ビットを使い、切り込みは控えめに設定します。目的は銅と絶縁確保に必要な最小限の基材を取り除くことであり、深い溝を掘ることではありません。
銅厚 35 µm の一般的な基板では、浅い切削から始めるのが通常は適切です。正確な深さは、工具形状、主軸の振れ、基板の平面度、マシンの精度によって変わります。
加工後は、絶縁の取り残し、銅のバリ、パッドの損傷を調べます。テスターの導通モードを使うと、意図しない接続を見つけやすくなります。
7. 穴を開け、基板を切り出す
絶縁切削が終わったら、適切なドリルに交換し、部品用と取り付け用の穴を加工します。
設計で指定した穴径を使ってください。加工間で同じワーク原点を維持し、穴と銅パッドの位置を合わせます。
次に外形用エンドミルを取り付け、外形加工を実行します。小さな基板では保持タブを残すか、別の方法で最終パス中に動かないようにします。
切削後は基板を取り外し、縁を整え、粗い部分のバリを丁寧に除去します。加工粉じんは適切な集じん・清掃方法で取り除いてください。
8. 基板を検査して組み立てる
これで電気的な検査と組み立てに進めます。
隣接配線間の短絡、重要な接続の導通、加工した穴を確認します。細ピッチのフットプリントや銅同士の間隔が狭い部分は、特に注意して調べてください。
はんだ付け前に基板を清掃します。露出した銅パッドを過熱したり剥がしたりしないよう、部品をはんだ付けします。
切削基板には通常ソルダーレジストがないため、近接した配線間にはんだブリッジを作らないようにします。両面基板では必要なビア接続を取り付け、両面ではんだ付けしてください。
確認が済んだら、電源を入れて回路を試験できます。
よりよい結果を得るために
**余裕のある間隔から始める。**太い配線と広い隙間は、特に入門機で安定して加工しやすくなります。
**基板を完全に平らに保つ。**平面度は絶縁切削の重要な要素です。適切に面出しした捨て板と確実な固定を使います。
**マシンと工具を調整する。**複雑な設計に進む前に、端材で主軸回転数、送り速度、切り込み深さを試します。
**ツールパスを必ず確認する。**プレビューで穴の欠落、外形の誤り、経路の問題を見つければ、材料を無駄にせずに済みます。
CircuitMill を使う理由
PCB 設計をマシンの命令にするには、図面の出力以上の準備が必要です。絶縁切削では工具形状、穴あけでは正確な位置、外形加工では完成寸法を考慮しなければなりません。
CircuitMill はこれらの加工準備を簡単にし、ツールパスの準備にかける時間を減らして、電子工作に時間を使えるようにします。
初めての自作基板でも、日常的な試作でも、目指すのは同じです。PCB レイアウトから完成した基板まで、分かりやすい手順で進めることです。